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2025/05/07

距離感なんです。

近頃作業をしていて思うのですが、自分の作っている商品はいったい誰にむけて作っているのだろう?そう思う時があります。

何故そんな事を思うのか考えてみたのですが、おそらく消費者様までの距離感だと思うのです。

それが良いとか悪いとかそう言った話ではないと思うのですが、距離が遠いほど感覚が鈍ると言うか実体のない物に対して物作りをしている感覚なんです。

距離が遠いほど何かフワッとした物作りになってしまって、自分でも作っていて途中で「あれ?」って思ってしまうんです。

消費者様までの途中の色々な人の意見が入ってくるのは自分の考えている事とは違う意見が入って、それはそれで新しい物作りができて楽しさや面白さがあるのですがその人たちが増えれば増えるほど何か違和感を感じてしまいます。

中間の人達の意見だけならまだしも、その人達が私の作った商品に後から別の工場で私に相談無く加工をしてしまったりされた時には「あ…。」って思ったりするんです。

自分が作った着物や帯が他の誰かの加工を自分の想像していたものを超えてきた時には本当に嬉しくて感動したりするのですが、「何かちょっとコレってどうなんだろうか?」なんて思う商品になっていた時はものすごく残念の気持ちになります。

自分ならもっと違うカタチの商品にできたのになぁなんて思ったら凄く切ない気分になったりします。

前述した通りそれが良いとか悪いとかではなくて作り手側からみて、自分の考えて作った商品を悪い意味で違う形にされてしまったことにどうしても切ない気持ちになってしまいます。

どうせやるなら自分が思っていたものよりもっともっとオシャレにしてほしかったとか、良い意味で想像を超えて欲しかったとか、思う事はたくさんあります。

自己満足じゃない?って言われてもかまわないので、やっぱり最後まで自分でやり抜ける商品を作りたいと心底思います。

後の加工を任せるなら自分の信頼する職人さんにお願いしたいと本当に思います。

なのでそういう商品作りやって行こうと思います。

頑張ります!!

距離感なんです。
距離感なんです。

2025/04/30

複雑な気持ちですね。

ついこの前まで桜が咲いていたような気がしますが、もう遠い昔のような気がするくらい初夏を感じさせる気候になった京都です。

私の大好きなお神輿のシーズンがやってきましたので仕事とお神輿とでとても充実した季節を今年も過ごせそうです。

そんな春の五穀豊穣の季節がやってきた京都の工場には難しい依頼が来ます。

依頼の内容は私のような引き染め屋に来るような仕事ではないと思うのですが、なかなか難しい加工の依頼が入ってきます。

私はわりと色々な物を使って加工をしていくのが好きですが、やはりシンプルなボカシ物の商品を作るのが引き染め屋としては1番やりがいを感じますし好きでもあります。

加工も複雑になるほど自分の本業としている部分からは離れて行きますし、少し複雑な気持ちにはなるのですが違う楽しみだと思ってやっています。

帯なんかはそれの象徴かもしれませんが引き染めでする部分よりも他の加工のほうが目立ちますし着物よりも当然ですが派手な商品になります。

それを求められればやはりそちらのほうを作っていかなければならないのですが、やはり自分としては複雑な気持ちではあります。

オシャレな商品を作りたいと思う気持ちは変わりませんので、どちらももっともっとスキルアップしていきたいと思っていますので日々精進です。

しかし物作りは本当に楽しくて、日々新しい物を作りたくてしかたないです。

これからももっともっともっと色々な技術を勉強してスキルアップして商品作りをしていきたいと思います。

複雑な気持ちですね。
複雑な気持ちですね。

2025/04/23

時代の流れですね。

先週末から一気に季節は進み、新緑の季節になって気温も1ヶ月先へと進んで初夏へと変わりました。

京都です。

近隣の桜は葉桜へと変わり眩しいくらいの緑へと変わりました。

この4月から一気に色々な事が変わり、ついていけてない感がすごいです。

何より工場で染めているものは季節的な商品は少なくなり、1年を通して使える商品がほとんどになりこの時期に染めていた夏物の商品は数を減らしています。

なかなか難しい判断を迫られる事が多くなってきているこの呉服業界です。

着物を染める作業はより難しいものを作る仕事が増え、簡単に大量に染める仕事は数を減らしています。

帯はもともとが難しい加工をしている商品が多いので、より難しくを求められる事はあまりありませんが生産量を求められるようになっています。

どちらも骨が折れる要望ですが求められている以上はこなしていかなければならないので、なんとか応えて行きたいと思っています。

まだまだ表面にはあらわれていませんが、水面下では色々な差別化が行われているように感じます。

令和も7年になり平成に比べてものすごい勢いで色々な事が前に進んでいるのではないでしょうか。

最近は自分のペースで作業ができていたり、色々なこの呉服業界の出来事が客観的に見れるようになって感じたり考える事は絶えません。

作業に追われて毎日毎日を走ってしまっていては感じられないことのような気がします。

この令和を職人としてどう生きていくのか本当の意味で考えていかなければならなくなったと思います。

私はまだまだこれからな40代ですのでたくさんの事に悩みながら時代と共に前進していきたいと思っています。

時代の流れですね。
時代の流れですね。

2025/04/16

シンプルは難しいです。

先週は満開だった桜でしたが先日の雨で工場のまわりの桜はほとんど散ってしまいました。

春の観光シーズンもようやく落ち着いてくるのかなといった感じの京都です。

最近の京都観光に来られる方々は着物を着て観光されている方が多いですが着こなしがすごくオシャレな方が多いなぁという印象をすごく受けます。

着付ける方がそういう着付けをする方が多いのか、自分で着る方がそういう着こなしをするのかその辺りはどうなのかはわかりませんがすごく見ていて楽しいです。

これからは新緑の季節になっていくので着物の色や柄なんかもまた違ったものに変わっていくでしょうし、個人的にもこれからの時期の方が好みで楽しみです。

早く暖かい日が続いてほしいですね。

そんな春が終わりそうで終わらない工場ですが相変わらずオリジナルの帯を作っています。

オリジナルの帯は加工に制限が無いのでとことんまでできるわけなんです。

加工に制限が無いとは、こちらから色々な事を提示していく商品なのでいわゆる価格もこちらで決めるのでとことんこだわる事ができるわけなんです。

御依頼されたり、お預かりした商品だとある程度の価格設定がある事がほとんどなのでその中でできる加工や作業を考えて商品を作っていくので、ここはこの加工をしたいなぁっていうのが価格の設定からはみ出てしまってできないなんて事があったりする事がしばしばあります。

だからといって良い商品ができないというわけではなくて加工をミニマムしたからこそシンプルで着やすい商品ができたりもします。

ごちゃごちゃ加工を重ねるから良いというわけでもなく、必要な加工を考えてシンプルに商品を仕上げていく事は逆に難しい事でもあると思います。

私が教えていただいた技術の師匠に言われた、「加工の足し算は簡単だけれど引き算はもっと難しい」その言葉をよく思い出します。
着物を作る時には帯以上にこの言葉を意識します。
シンプルに作る事の難しさ。

ただたんに加工を少なくすればどこにでもある大量生産の商品と変わらない物になってしまいますし、かといって細かい加工を積み重ねれば予算をオーバーしてしまいますし、この絶妙なラインの商品をどう作っていくかが腕の見せどころだと考えています。

こんな事を考えながら商品を作るのは難しいですが本当に楽しいです!

そして考えて作った商品がお客様に喜んでいただければこれ以上の事はないです。

さてさて今日はどんな商品を作ろうかと春の気持ちのいい気候にあてられて眠い目を擦りながら頑張って物作りしていこうと思います。笑

シンプルは難しいです。
シンプルは難しいです。

2025/04/09

桜満開です。

私の工場のある場所のすぐ近くにある川沿いの桜もいよいよ満開です。

桜目当ての観光客もピークでどこもかしこも人・人・人です。

連日お天気も良くお花見に来る人たちや桜の写真を撮りに来る人たちで賑わっています。

この週末は雨予報の京都ですのでそろそろ桜は見納めになりそうです。

そんな桜舞い散る川沿いの工場ですが変わらずオリジナルの帯作りをしています。

オリジナルの帯は生地から選んで買付けますので生地屋さんで生地を選んで買うのですが、昨今の不況の煽りを受けてどんどん地紋のある生地が少なくなって選べる生地の種類が減ってきています。

生地の地紋とは生地の柄のことで、生地が織られる段階で柄が作られるのですが以前は本当にたくさんの地紋のある生地があり古典的な柄からオシャレな柄や可愛らしい柄と多彩な地紋の生地がありました。

その中から選んでこの生地でこんな加工をしようとか考えて生地を購入するのですが、今は以前買った地紋の生地を欲しいと言っても今はもう織っていませんと言われる事が多く、前に作った商品が作れないなんて事が多くなっています。

同じ加工をしても生地が違うとまったく違う感じになってしまいます。

なのでできるだけ以前使った生地と同じ物を使って作りたいのですが、なかなか難しい状況になってきています。

私が購入させてもらっている生地屋さんは京都で1番多くの種類の生地を扱われているお店なので、そこでもこの状況なのでなかなか厳しそうです。

これからどうなっていくのかわかりませんが、無いなら加工でなんとかしていくしかないのでまた頭を捻って考えようと思います。

着物業界も多分にもれず不況が続いていますが、その中でもチャンスや自分がやれる事はまだまだあると思うので諦めずに頑張って行こうと思います!

桜満開です。
桜満開です。
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