2024/11/28
個性的って言われます。
近頃よく言われるのですが、「とても個性的な商品をお作りですね。」
そう言われます。
たしかに毎日毎日色々な商品を作り、最近では自分の作っている物に『珍しい物』なんて事はそうそう思わなくもなっていましたが、確かに形こそ着物であったり帯だったりしますがそれ以外はそこら辺にある着物や帯にはまったく無いデザインではあります。
それこそ一昔前まではどこにでもいる取引先から依頼された商品をただただ染める引き染め屋でしたが、染め屋である以上自分で考えて自分で作る事は当たり前ではないかと考えて自分で物作りを始めて、だんだんと自分で作る商品が売れ出して気に入ってくれる取引先が増えて今に至るわけです。
最初は世間には無い商品を作ろうと頑張って色々と作っていましたが、世間にはどんな商品があるのか調べて知れば知るほど自分が世の中にある商品をどれだけ知らなかったと言うことを痛感し、自分にできる技術を増やし作っては失敗を繰り返しながら今までやってきました。
そして最近になって自分が変な商品を作っていると指摘されました。笑
なんだか複雑な気分ですが、一応取引先からは売れているから作ってほしいと言われて作っていたので変な商品ですが大丈夫かなと。笑
自分が考えて作った商品が誰かに認めてもらえてそれでお金が稼げるって、作り手として当たり前の事ですが染め屋の職人って以外とみんなやってないと思うんです。
それが良いとか悪いとかじゃなくて、それでいいの?って私は思っただけで。
思ったらやるしかないと思っただけで。
たぶんここ1〜2年で京都の呉服業界はゴロっと変わると思う。
悪い方向に。
自分の立ち位置や周りの環境、全てが変わる気がするんです。
それでもしっかりと地に足つけて踏ん張って次のステップを踏み出せるように準備しておきたい。
そのためのスタートを切って行こうと思います。
今は変な商品がいつか「オシャレだね!」って思ってもらえるように頑張ってやろうと思います。笑
2024/11/20
上手く付き合う、です。
寒いです。
京都は急に冬になりました。
週末の雨と共にどんどん気温が下がり一気に1ヶ月先の気温になりました。
紅葉は少し始まったばかりですが、通り越して冬になってしまいました。
これだけ急激な気温の変化が起こると、染めにも影響が出てしまうのでいつにも増して神経質に仕事をしていかなければなりません。
本当にやめてほしい。
普段は起こらない事が色々出てくるので本当に困ります。
私は基本的に染めは自然との共存だと思っています。
こんなふうに言うと大袈裟に聞こえるかもしれませんが簡単に言えば、暑いときも寒いときも逆らわないことだと思っています。
引き染め工場と言えば工場に窓はほとんど無いし空調設備も無い(最近はそうでもないですが)が基本です。
着物や帯などの生地や染料や薬品など気温の変化で色々な変化を起こします。
その変化が色々なトラブルを引き起こします。
暑いことが、寒いことが、湿気があることが、乾燥していることが、そういった環境の極端な変化がトラブルの原因になります。
それをなんとかしようと環境を無理に変えようとしてエアコンや除湿機など使ってもほとんど意味はありません。
工場という室内にいても外の環境と結局は同じで一時的に環境を変えても根本的に変わらないので、結局はトラブルは改善されません。
ですので極端に気候が変わるときは『何もしない』が一番の解決策だと思っています。
染めなくても他にやる事はいっぱいありますので。笑
不思議な事にこれを始めてから本当にトラブルはなくなりました。
ですので無理に逆らったりしないで環境と上手く付き合うのが大切だと思っています。
これから先は四季が無くなるのではないかなんて言われていますが、環境対策でできる事はやりながら変化する環境と上手く付き合うやり方を考えていかなければならないのではないか?なんてことを考えながら日々染めと向き合っています。
なんにせよもう少しゆっくり季節が変わってほしいと心底思います。
2024/11/14
繋ぐ難しさ。
寒くなったと思ったら次の日には暑くなったりと、なんだか本当に訳の分からない気候になっている京都です。
日本全国そうかもしれませんね。
変な気候に左右されてなかなか身体がシャキッとしません。
今週の京都はどうやら暑い1週間になりそうなので、暑くなると言う心構えで毎日を過ごしていこうと思います。
それはさておき、最近の我が工場では本当に普通の仕事が多いです。
普通の仕事って何?って思われたかと思いますが、引き染め屋らしい仕事のことで1色で最初から最後まで染める色無地の商品や縦ボカシ、モヤボカシや横段のボカシなどの着尺の着物の商品です。
近年うちの仕事の種類のなかではそれほど多い方ではなかったのですが、ここに来て多くなっています。
最近はやたら凝った帯の加工の仕事が増えていたのですが、近頃はそういった引き染め屋らしい仕事が多いです。
商品を持ってきてくださる方々は皆さん一言目に「染めてもらっていた工場さんが廃業されて…」とおっしゃられて困っておられる方が多くて、職人さんが減ってきているのを実感します。
以前は沢山あった染め工場もだんだんと少なくなって、染めたくても染められない状況になってきているんです。
その状況を目の当たりにして、自分は残っている側として今持っている技術だけではなくもっと色々な技術を学んでいく必要があるなと考えさせられています。
これから失われていく技術もあるでしょうし、そういう技術を残し繋いでいくのも残された職人な義務なのではないかと思うんです。
技術は失われるのは一瞬ですが、その技術を復活させるのは本当に大変な事だと思うんです。
失われてしまう前になんとか繋いでいけるように努力していきたいと思います。
2024/11/06
もう寒いですね。
秋がようやく来ましたね。
もう寒いです。笑
仕事中は半袖なのですが、さすがに朝晩は寒くなってきたので長袖を引っ張り出してきて着ています。
まだまだ紅葉シーズンには程遠い感じの京都ですが、街中は観光の人達でごった返しています。
年末に向けて忙しくなっていますが、今年は色々と考えさせられる事の多い1年だった気がします。
まだ今月をいれて2ヶ月を残していますが、寒くなった事をきっかけに一気に年末感が増した気がします。
これからどういった商品を作っていくのか?今後どんな取引先と仕事をしていくのか?とか、考えてみればいつも思っている事ではあるのですが今年はより真剣に考えた気がします。
10年先を考えた時に、このままでいいのか?どうやっていけばいいのか?誰しもが考える事ではあると思うのですが、本当に真剣に考えてめちゃくちゃ迷った1年だった気がします。
着物業界ってどうなのか?このまま着物や帯を作っていくだけでいいのか?本当に考えました。
答えはまだ出ていませんが、やるべき事は決まった気がするのでそれを日々やっていこうと思います。
それが正解かどうかはわかりませんが、とにかくやってみないことにはわからないのでやっていこうと思います。
どうなるか楽しみでもありますが、正直怖い気持ちもあります。
すぐに結果は出ないと思いますが、10年後にあの時にやってよかったと思えるように今苦労しようと思います。
やったりできた事は少しずつこのブログに書いていこうと思います。
とにかく自分の仕事は染め
る事なので、それをより真剣に気合いをいれてやっていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
今後の自分が楽しみになるように努力します!
2024/10/30
色の変化を楽しんで。
急に寒くなってきました。
先週は風邪をひいてしまいどうなるかと思いましたがなんとか復活し、元気に毎日仕事をしています。
それにしても急に寒くなってきた京都です。
一雨ごとに寒くなっている感じで、バタバタと秋と言うよりも冬支度になっている感じです。
そろそろ来年の春夏ものの制作が始まっていきますが、来年の春ごろにはどんな色の着物や帯が流行るのか考えていかなければなりません。
毎年だいたいは決まった春夏色があるのですが、それだけでは面白くないので『攻めた色』を毎年何色か染めているのですが、この色を決めるのがなかなか悩むところなんです。
攻めすぎて奇抜すぎて全然売れない色を作ってしまう事もあります。笑
笑い事ではないのですが、何十色と色を決めていく中でこの色は面白そうだなとか、この色はなかなか染めないなぁなんて色々考えて決めていくのですが、いい塩梅の色って本当に難しいなぁといつも思うんです。
この色はオシャレなのか?それとも奇抜すぎるのか?なんてぶつぶつ言いながら1人考えています。
色って本当に大切で、色一つでどんな商品も売れたり売れなかったりすると思うんです。
少なくとも自分が納得した色じゃないと確実に売れません。
こんな感じかなぁ?なんて思った色は絶対に売れません。
それぐらい真剣に色とは向き合って、妥協せずに染めていかないといい商品にはなりません。
難しいですがある意味で染める作業よりもやりがいがあります。
その分めちゃくちゃ大変ですが。
染め屋といえば染める作業に注目されがちですが、その染め屋が染めた商品の色を注目して見てみると違った見え方して面白かったりします。
これからどんどん寒くなって街中を歩く着物姿の人達の着物の色がどんどん変化していきます。
紅葉の時期でもありますので、色々な物の色を楽しんでみてはいかがですか?