2023/11/29
アップデートする。
今日からまた一段と京都は寒くなりましたが皆様のところはいかがでしょうか?
明後日から12月ですが年末にむけ仕事もラストスパートをかけていきたいところです。
京都は紅葉も進み、まさに観光シーズンになり大勢の観光の人たちで街中はごった返しています。
交通機関もたくさんの観光客の人たちでパンパンで観光地もものすごい賑わいで、当店も観光地の近くにあるのですが最寄りの駅も普段は学生がほとんどなのですが、今は着物を着た観光の方々をたくさん見かけます。
その光景を見て思うのですが、近頃は若い方も着物を来て観光を楽しむ方が本当に多くて、着物の着こなしもすごくおしゃれでステキだなーと関心しながら見ています。
着物にあわせる帯の色使いや小物の使い方も独特で、よりファッションとして着物が若い方に認識されているように思えて本当に嬉しく思います。
若い方の感性で古くからある着物の文化をアップデートして新しい着物のあり方を見せてもらっているようで作り手としては本当に勉強になりますし、若い方にもっともっと着物を着てもらえるようにおしゃれで素敵な商品を作っていかないといけないなと奮い立たせられています。
そうやっていつの時代も着る人と作る人間の感性の相乗効果で古い物が新しくなり何年も何年も着物の文化は続いていっているのではないかと思います。
私ももっともっと感性を磨いて技術を向上させて若い人たちに着たいと思ってもらえるような商品を作っていきたいと思います。
観光シーズンはまだまだしばらく続きますので仕事の合間に街を歩く着物を着た人たちを見にぶらりと出かけてみようと思います。
着物を着た姿は本当にステキですね♪♪
2023/11/22
道具は大切なんです。
京都は本当に寒くなり、いよいよ冬本番になろうとしている今日この頃ですがいかがお過ごしでしょうか。
水道の水もどんどん冷たくなり手が悴んでしまい大変です。
水が冷たくなる、で思いつくのが私たち引き染め屋が使う『刷毛』です。
急にマニアックな話になりますが『刷毛』と言っても色々な刷毛があり用途もさまざまですが、我々引き染め屋が主に使う刷毛は引き染め用の刷毛で5寸刷毛や6寸刷毛なんて呼ばれたりします。
5寸・6寸とは刷毛の大きさで4寸やそれより小さな刷毛もあります。
着物を染めるときは6寸刷毛を多く使いますし、帯を染めるときは5寸刷毛を多く使うように私はしています。
刷毛の毛は鹿の毛で、独特のコシがあり染料を適度に吸ってくれるので染めやすいです。
他の豚毛の刷毛や馬毛の刷毛や安い人工の毛の刷毛など色々使ってみましたが、やはり鹿の毛の刷毛が1番使いやすかったです。
引き染め用の刷毛は一本がなかなかのお値段ですので大事に使ってできるだけ長持ちさせたいので、保存にも気をつけます。
新しい刷毛は毛が抜けやすいので諸説ありますが、私がやっている方法は新しい刷毛は冷水に半日〜1日漬けて刷毛自体に充分に水分を含ませて水から取り出し刷毛の表面の水分を乾かした後冷蔵庫で保管するようにしています。
その冷水ですが、夏場などの暑い時期の水ではなく冬場の冷たい水でないと何故かなかなか長持ちしません。
なのでこの冬場の時期からは刷毛を仕入れる事が多くなります。
刷毛は何度も染めに使っていくうちに染料に含まれる糊の成分が刷毛に溜まっていき固まっていくので毛が抜けにくくなっていきます。
刷毛は使った後洗うのですが、お湯で洗うと毛のコシがすぐに無くなってしまい染料の含みが悪くなり染めにくくなってしまうので、いつでも水で洗わなければなりません。
なので冬場は本当につらいです。
刷毛だけを使うわけではありませんが、やはり染めるためのメインの道具ですのでしっかりと管理していつでも商品作りに使えるようにしておきたいです。
今回は引き染め屋が使う刷毛についてお話ししました。
ブログを見てくださる方々がおもしろいかどうかはわかりませんが、今後もこんなお話しもさせていただこうかと思っています。笑
2023/11/15
嬉しい話です。
今週から急に寒くなり、秋を通り越して冬になったようですね。
急な季節の変化で体調があまり良くないですが、年末にむけて忙しい毎日をすごしています。
先月に取引先から「ファッションショーに使う着物を作りたいのでお願いしたい」と注文をもらい制作した商品がどうやらショーのメインで使われるようだと連絡をもらいました。
こう言う話は作り手側からすれば本当に嬉しい話で、自分だけでなく一緒にあーだこーだ言いながら考えた取引先の担当さんや、自分が染めた商品をさらに良くするために加工をした工場さんも含めて全員で頑張ってよかったなと思える瞬間だなと思いました。
作り手側にはこういった反響の声はなかなか耳に入る事は少ないもので、「あの商品評判良かったよ」とか「あの時の商品、すぐに売れたから」なんて言ってもらえると頑張って作ってよかったなぁと素直に嬉しくなります。
誰かに自分の作った着物や帯を買って着てもらえる事が作り手として1番嬉しい事ですが、こういったかたちで見てもらえると言うのもまた嬉しい事です。
これからももっとおしゃれな着物や帯を作っていきたいと思うし、そのために日々努力していかないとと思います。
これからどんどん寒くなっていきますが、しっかりと体調管理して物作りをしていこうと思います。
2023/11/09
悩むことが多いです。
近頃夏が少し戻ってきたような感じのする今日この頃ですが、京都では紅葉が進みこれからのシーズンにむけてにぎわいを見せています。
着物で京都の街を出歩く観光客の方々も非常に多く見られ、紅葉の進む木々のように街も色鮮やかな着物姿の人で色づいています。
さて、先日取引先との会話の中で帯の裏地を専門にしている会社が1軒、裏地の取り扱いを終了するとの話を聞きました。
その会社は裏地の取り扱いをやめ、表地の専門店へシフトチェンジするとの事でした。
こう言った話は近頃本当に多くなり、業態の転換や閉店など非常に多くなってきたように感じます。
そもそも帯の裏地を専門にしている会社は非常に少なく、裏地の取り扱いをしている会社はありますが専門にしている会社は多くはありません。
しかし帯を仕立てる上で裏地の種類の豊富さはどうしても必要になります。
表地にあった裏地をつけるためには、より種類の多い専門の会社に行かなければなりません。
そこがなくなってしまうという事は表地は色々な種類があるけれど裏地はみんな一緒、なんて事になりかねません。
裏地だから別に気にしないって方もいるかもしれませんが、帯裏はその商品の個性の一つでもあると思いますのでそこにこだわれないのは物作りをしている側からすれば悲しい事です。
ここ数年で裏地の値段が高騰し、安い混紡の裏地も出ているそうですが、はたしてどうなのか?
帯を作っている者としては、また一つ頭を悩ませる事が起こっています。
これからまだまだこう言った事が起こってくる予想の呉服業界ですが、そういったことに柔軟に対応してより良い物作りが継続できるように頑張っていきたいと思っています。
2023/11/01
早くも11月ですね。
今日から11月になりいよいよ年末が近づいてきましたね。
年末に向け年内に色々な事を片付けてしまわなければなりません。
相変わらず新作の依頼は次から次へと来ているのですがなかなか易々と片付くものではなく頭を抱える日々が続いています。
着物に関しては当店は着尺の依頼が多く、予算と加工で取引先との話し合いが日々続いています。
昨今では生地の値段がどんどん上がる中、加工代を抑える傾向にあり、なかなか折り合いのつかない状況です。
安い予算で最低限の加工をしながらも新しいものを作り出すという、職人にはある意味やりがいはありますが非常に難しい課題を突きつけられています。
しかしそれとは逆に帯に関しては予算に関係なく新しいものをどんどん作っていきたいという傾向にあり、とてもありがたい状況にあります。
色々な加工を行う事ができ、こちらとしてもやりやすく加工の幅も広がるので着物とはまた違ったやりがいがあります。
ただただ加工を重ねて複雑にする事がいい結果に繋がるわけではないと思いますが、「ここであと1加工できれば…」と予算の幅の無い着物では思ってしまうところを、帯ではその1加工ができますので悩む部分が減り作りやすくなっています。
とりあえず取引先からの受注分に関しては、そんな日常ですがなんとかこの荒波を乗りこなして年末あと2ヶ月を走り抜けたいと思っています。
自分で生地を買って制作する分に関しては、今までのペースでゆっくり作れているのでもう少しスピードを上げて頑張っていこうと思っています。
物作りは本当に難しいですが、まだまだ楽しくできていますので引き続き全力で取り組んでいきたいです。
皆様も年末に向けお忙しいと思いますが体調に気をつけてお互い頑張っていきましょうね!