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2024/03/13

加賀友禅の展示会見に行ってきました。

京都は1日1日寒くなったり暖かくなったりを繰り返して少しずつ春にむかって季節は進んでいる気がします。

この季節は展示会などが本当に多く、毎週末のようにどこかで展示会が行われています。

そんな中、今日は加賀友禅の新作の展示会へ行ってきました。

京都から遠く離れた石川県の金沢市を中心に多くの友禅作家が活動されています。

京都・東京と並ぶ日本三大友禅の一つです。

私は友禅作家さんのように友禅を挿す事はありませんが、同じ染めを生業にしている人間として友禅の魅力に惹かれて勉強がてら友禅作家さんの着物や帯などを見に展示会へ足を運んでいます。

自分が作る商品とはまた違う物ですが、色使いや柄の配置など勉強になることは本当にたくさんあります。

私は加賀友禅の地色がとても好きで、優しく柔らかな地色ですがとてもいい具合に友禅の色を引き立たせて着物全体をしっかりとまとめ上げているように感じます。

なかなか簡単に作れる地色ではありませんが、参考にして私も商品を作る事もあります。

加賀友禅は独特の色使いや繊細な糸目、草花柄を中心とした豪華な柄の構図など京都の友禅とはまた違った面白さがあり見るだけでも本当に面白いです。

決して安い商品ではありませんが、そのお値段に見合う繊細な手仕事で作られた本当に素晴らしい作品ばかりでした。

京都でなかなかたくさんの加賀友禅の新作商品を見る機会はありませんので、こうして展示会で見るたびに同じ染めの業界の職人として加賀友禅の職人の方々を本当に尊敬しますし誇りに思います。

京都と同じように職人の高齢化や後継者不足などさまざまな問題に直面されているそうですが、それを乗り越えてこれから先もこの技術が受け継がれていくようにお互いに頑張っていきたいですね。

加賀友禅の展示会見に行ってきました。
加賀友禅の展示会見に行ってきました。

2024/03/06

先輩から学ぶこと。

京都は寒い雨の日が続いていますが梅の花も満開を過ぎて、次は桜の時期を待つばかりです。

3月になりましたが、引き続き忙しい日々が続いています。

この時期は毎年、春夏物の追加の時期から秋冬物の新作の時期に変わる切り替えの時期で忙しさも少し落ち着いていく時期です。

そんな中、先日去年に出会った若い職人の方々と親睦を深めるために食事会を開催しました。

今回は前回ご一緒した若い職人さん達に加えて、私より少し年上の職人さん2人にも参加していただいて食事会を行いました。

今回参加していただいた年上の職人さん達は、本当に素晴らしい技術を持った職人さんで常に最前線を行く方達です。

私自身お2人からは日々色々な事を勉強させていただいていますし、お2人も若い人から色々勉強したいとおっしゃっていて常に向上心を持って私達に接してくださる本当に素晴らしい方々です。

そんなお2人を加えて行った会では、そのお2人を中心に着物や帯を染める技術の話や、自分達が作った商品が消費者様の手に取られるまでの事をどう考えるかなど本当に色々な話しを聞かせていただきました。

同じ業界ではありますが、普段から接点も少なく膝を突き合わせて話す機会などそれほどあるわけではありませんので若い職人さん達は本当に熱心に先輩方の話しを聞いていました。

こんな風に先を行く方達と後を追う我々が熱い気持ちを持って色々な事を話し合い、そこで学んだ事を活かして新たな商品を生み出す事がこの業界の活性化と永続に繋がるのではないかと思います。

安いコストで大量生産が求められるようになってきたこの業界で、我々職人はいかに付加価値をつけ素晴らしいと思ってもらえる商品を作れるかで勝負していかなければなりません。

それは自分が学んだ事だけではなく、色々な経験と知識を持った人達から学んでそれを自分なりにどう活用するのか考えて商品作りをしていくかでこれからの職人としてのあり方が変わってくると思うのです。

今回私達の意見を嫌な顔一つせずに大きな心で応えていただいた先輩方に心から感謝しています。

本当にありがとうございました。

今後もこういった会が続けていけたらと思います。

先輩から学ぶこと。
先輩から学ぶこと。

2024/02/28

本当の良さを見てください。

2月も残すところあと1日になりました。

相変わらずの変化の激しい気候ですが、なんとか体調も崩さず毎日忙しく仕事をしています。

先週に急ぎで作りあげた商品もありがたい事に完売し、次の商品を作っていかなければなりませんが他の受注もありますので、それもこなしながらまた新作を考えようと思っています。

昨年からポリエステルの生地の着物の仕事が大変忙しく、世の中の着物がポリエステルの商品になろうとしている流れがあるのかもしれません。

昨今の正絹の生地の値段の高騰が一つの要因なのかもしれませんが、少しずつですがポリエステルや綿や麻などの商品が正絹の商品に取って代わろうとしているのかもしれませんね。

帯に関してはまだまだ正絹の生地が多いように思いますが、これだけ正絹の生地の値段があがってしまっては今後どうなるかわかりません。

それぞれの生地の良さがあり、それぞれの生地の特徴でどの生地の商品が良いか競い合うのではなく、ただただ一つの種類だけが飛び抜けて値段が高騰してしまいどうにもならなくなってそれに代わる商品を作らなければならなくなっている状況は決して良い事ではないと個人的には思います。

そういう流れの中ではそれぞれの生地の商品の本当の良さを見てもらえる事は少なく、表面上の違いを重視されてしまいなかなかそのもの自体の本当の良さや違いを感じてもらう事が難しくなってしまいます。

ただ生地が違う、それだけではなくその生地で作られる着物がなぜその生地を選んで作られたのか、なぜその作り方なのか、なぜその価格なのか等、作る側は本当に色々な事を考えて選び作っていますので、手に取る側の方々は色々な部分を見て考えていただけると嬉しいです。

価格が安い、それだけで選ぶのではなく自分にとって本当に自分に合った、自分に必要な着物や帯はどれなのか考えて購入していただきたいですね。

これから色々な事がどんどん変化していくのだと思いますがその変化に飲み込まれずに、かと言ってその変化に反発するのでもなく、上手く変化と流れに乗って楽しんで物作りをできればと思っています。

本当の良さを見てください。
本当の良さを見てください。

2024/02/21

物作りはやめられない。

今週は週始めから雨が降り続いている京都ですが、気温は高く雨降りで湿気がすごく染め屋泣かせな気候でしたが、今日は急に2月らしい気温になり寒く冷たい雨が降っています。

寒い時期は雨が降っても湿度は低めなので、それほど仕事もやりにくい事はありませんので今日は久しぶりにガッツリ仕事ができました。

さて、先週末に急に取引先から「商品のバリエーションが少ないので何点か急ぎでオリジナルの帯を作ってほしい」と連絡があり、せっせと急遽オリジナル商品を作っていました。

こういった話はよくある事ですが、常日頃から何を作ろうか考えているのでその中から時間のかからない加工で見栄えが良く、かつ複雑に見える商品を作らなければなりません。

なにより大切なのは、オリジナル性とおしゃれで着装した時に美しく見える商品を作る事です。

納期まで1週間しかありませんのでなかなか大変でしたが、なんとか間に合わす事ができました。

着物もそうですが最終的に作る商品のイメージを考えて加工を組み合わせていくのですが、加工途中でこっちの加工の方がいいんじゃないかとか色々と加工を変えたりしますのでオリジナルの商品は受注の商品に比べて時間がかかります。

ですが自由に考えて作る事ができるので、本当に楽しいです。

物作りの醍醐味は自分で考えたイメージの商品を作ってそれが自分のイメージ通りに作りあがりその商品がお客様に喜んでいただける。

これが物作りをする上で最高の事ではないかと思うのです。

やはり最後にお客様が手に取って喜んでくださる顔を見た時は本当に作ってよかったと思いますし、その瞬間は最高の時間です。

この瞬間があるから物作りはやめられないなぁといつも思います。

その瞬間をこれからより多く感じられるようにしていきたいと思っていますので、まだまだ何十年先も物作りを続けていきたいと思います。

物作りはやめられない。
物作りはやめられない。

2024/02/14

変化を受けいれる。

京都は昨日から春の様な気候でとても暖かくすごしやすい気温です。

今週末までは春の気候になりそうですが、まだ2月半ばですね笑

来週からまた2月本来の気候に戻るそうなので油断せずに体調管理していきたいですね。

さて工場では少しずつ春夏物の追加注文が入り出し、またバタバタとしています。

今年もコートの注文が多いようで、透け感のある紗や紋紗の商品が好調のようです。

紗や紋紗の生地は着物に使われる事もありますが昨今では主にコートに使われる事がほとんどです。

独特な透け感で着物の上に羽織るととてもおしゃれで人気があります。

しかし染める側としては非常に染める事が難しく大変ですので、苦労が絶えない生地なんです。

ですが染まってしまえば見栄えも良く、色次第で本当におしゃれな商品になります。

コートなので着物よりも値段は安いですし、売れ行きが好調なのも頷けます。

着物と帯とコートがあれば色々な季節を色々な組み合わせで楽しめるので、着物ライフをより一層充実させる事ができますね。

近頃では着物にスニーカーやタートルネックなんかを合わせて着たりする方たちが増えてきているそうです。

賛否両論ありますが、私個人としては全然アリだと思っています。

着物本来の着方ではないかもしれませんが、より日常的に着物を取り入れている感じがしてとても好感がもてますし、そうやって普段から本当の意味で着物が生活の一部になっている感じがあってすごくアリだと思っています。

令和の時代らしく着物の文化が変化していけば良いんじゃないかと思います。

変化を受け入れてまた新しい時代に進み、これからもずっと着物の文化が続いていけばいいなと心から思います。

春に向けて気候だけでなく色々な変化が続いていきますが、体調に気をつけて気を引き締めて頑張っていきましょう!

変化を受けいれる。
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