2024/12/12
暈し染めっていいですよね。
寒い寒いと最近毎日言っている気がします。
気がつけばもうすぐ12月も前半が終わろうとしていますね。
2024年もいよいよ終盤になり、なんだかあっという間の1年だった気がします。
12月になってずいぶんと冬らしくなって、世間ではクリスマスムードです。
クリスマスという事でクリスマスっぽい帯でも作ろうかな笑
さてずいぶんと冷え込んできた工場ですが、今はポリエステルの着物の商品を染めています。
着尺と言う総柄の着物で、暈しで作っています。
今まで色々な暈し染めをしてきましたが、最近ではオーソドックスな縦の暈しなんかの商品が多いです。
縦の暈しとは着物を縦方向に2色または3色ぐらいで暈して染めていくもので、昔からあるオーソドックスな暈し染めの商品です。
仕立てるときに色々な仕立て方ができたりするので面白い商品で昔から人気があります。
他にも様々な暈し染めはありますが、不動の人気です。
縦にボカシがしてあるだけで色無地よりカジュアル感が増してオシャレな着物になります。
なのでフォーマルよりカジュアルな着物にしたい時は縦暈しをする事が多いのではないかと思います。
暈し一つでゴロっと着物の雰囲気も変わるので暈し染めを求められる事が多いのではないでしょうか。
年が明けて初詣に着物を着て行かれる方が多いと思いますので、その方達の着物がどんな暈しがしてあるか気にしながら初詣に出かけるのも面白いのではないでしょうか。
今年もあと3週間ほどですが、年末最後まで体調に気をつけて走り抜けたいと思います。
2024/12/04
打開策になれば。
ようやく紅葉シーズンになったそうです。
京都です。
遅い!笑
今年は本当に遅い紅葉シーズンインです。
これからどれぐらいまで紅葉シーズンが続くのかはわかりませんが、とにかくこれからが紅葉の見どころだそうなので京都に遊びに来てはいかがでしょうか?
そんな紅葉狩りで賑わう京都にある私の工場ですが、今は正絹の色無地の着物の染めの仕事で賑わっています。
元々価格の安い色無地ですが、昨今の不況の煽りを受け今一度見直されているようで、うちにもよく染めの仕事の依頼があります。
生地の価格や加工代・材料費の高騰などで小売価格が爆上がりする中、こだわった生地と色で作る色無地の着物が流行っているようですね。
生地と色をこだわって作った色無地の着物の商品は値段も手頃で、帯を変えればフォーマルでもカジュアルでも使えますし本当に便利です。
着物初心者の方でも非常に着やすいのでよく売れるのも納得できます。
価格の高騰など色々な事が重なって着物が売れにくくなっている状況で、何か打開策をとどこもかしこもが取り組んでいるのが色無地の着物なんだと思います。
なかなか難しい状況ですがこの色無地の着物をきっかけに色々な商品が売れてくれればと願うばかりです。
なかなかこの呉服業界も先行きが不安ではありますが、諦めるにはまだまだ早いと思いますので色々な商品を作って挑戦していければと思っています。
京都は今週末あたりから一段と寒くなるみたいなので、そろそろ本格的に冬支度をしていこうと思います。
2024/11/28
個性的って言われます。
近頃よく言われるのですが、「とても個性的な商品をお作りですね。」
そう言われます。
たしかに毎日毎日色々な商品を作り、最近では自分の作っている物に『珍しい物』なんて事はそうそう思わなくもなっていましたが、確かに形こそ着物であったり帯だったりしますがそれ以外はそこら辺にある着物や帯にはまったく無いデザインではあります。
それこそ一昔前まではどこにでもいる取引先から依頼された商品をただただ染める引き染め屋でしたが、染め屋である以上自分で考えて自分で作る事は当たり前ではないかと考えて自分で物作りを始めて、だんだんと自分で作る商品が売れ出して気に入ってくれる取引先が増えて今に至るわけです。
最初は世間には無い商品を作ろうと頑張って色々と作っていましたが、世間にはどんな商品があるのか調べて知れば知るほど自分が世の中にある商品をどれだけ知らなかったと言うことを痛感し、自分にできる技術を増やし作っては失敗を繰り返しながら今までやってきました。
そして最近になって自分が変な商品を作っていると指摘されました。笑
なんだか複雑な気分ですが、一応取引先からは売れているから作ってほしいと言われて作っていたので変な商品ですが大丈夫かなと。笑
自分が考えて作った商品が誰かに認めてもらえてそれでお金が稼げるって、作り手として当たり前の事ですが染め屋の職人って以外とみんなやってないと思うんです。
それが良いとか悪いとかじゃなくて、それでいいの?って私は思っただけで。
思ったらやるしかないと思っただけで。
たぶんここ1〜2年で京都の呉服業界はゴロっと変わると思う。
悪い方向に。
自分の立ち位置や周りの環境、全てが変わる気がするんです。
それでもしっかりと地に足つけて踏ん張って次のステップを踏み出せるように準備しておきたい。
そのためのスタートを切って行こうと思います。
今は変な商品がいつか「オシャレだね!」って思ってもらえるように頑張ってやろうと思います。笑
2024/11/20
上手く付き合う、です。
寒いです。
京都は急に冬になりました。
週末の雨と共にどんどん気温が下がり一気に1ヶ月先の気温になりました。
紅葉は少し始まったばかりですが、通り越して冬になってしまいました。
これだけ急激な気温の変化が起こると、染めにも影響が出てしまうのでいつにも増して神経質に仕事をしていかなければなりません。
本当にやめてほしい。
普段は起こらない事が色々出てくるので本当に困ります。
私は基本的に染めは自然との共存だと思っています。
こんなふうに言うと大袈裟に聞こえるかもしれませんが簡単に言えば、暑いときも寒いときも逆らわないことだと思っています。
引き染め工場と言えば工場に窓はほとんど無いし空調設備も無い(最近はそうでもないですが)が基本です。
着物や帯などの生地や染料や薬品など気温の変化で色々な変化を起こします。
その変化が色々なトラブルを引き起こします。
暑いことが、寒いことが、湿気があることが、乾燥していることが、そういった環境の極端な変化がトラブルの原因になります。
それをなんとかしようと環境を無理に変えようとしてエアコンや除湿機など使ってもほとんど意味はありません。
工場という室内にいても外の環境と結局は同じで一時的に環境を変えても根本的に変わらないので、結局はトラブルは改善されません。
ですので極端に気候が変わるときは『何もしない』が一番の解決策だと思っています。
染めなくても他にやる事はいっぱいありますので。笑
不思議な事にこれを始めてから本当にトラブルはなくなりました。
ですので無理に逆らったりしないで環境と上手く付き合うのが大切だと思っています。
これから先は四季が無くなるのではないかなんて言われていますが、環境対策でできる事はやりながら変化する環境と上手く付き合うやり方を考えていかなければならないのではないか?なんてことを考えながら日々染めと向き合っています。
なんにせよもう少しゆっくり季節が変わってほしいと心底思います。
2024/11/14
繋ぐ難しさ。
寒くなったと思ったら次の日には暑くなったりと、なんだか本当に訳の分からない気候になっている京都です。
日本全国そうかもしれませんね。
変な気候に左右されてなかなか身体がシャキッとしません。
今週の京都はどうやら暑い1週間になりそうなので、暑くなると言う心構えで毎日を過ごしていこうと思います。
それはさておき、最近の我が工場では本当に普通の仕事が多いです。
普通の仕事って何?って思われたかと思いますが、引き染め屋らしい仕事のことで1色で最初から最後まで染める色無地の商品や縦ボカシ、モヤボカシや横段のボカシなどの着尺の着物の商品です。
近年うちの仕事の種類のなかではそれほど多い方ではなかったのですが、ここに来て多くなっています。
最近はやたら凝った帯の加工の仕事が増えていたのですが、近頃はそういった引き染め屋らしい仕事が多いです。
商品を持ってきてくださる方々は皆さん一言目に「染めてもらっていた工場さんが廃業されて…」とおっしゃられて困っておられる方が多くて、職人さんが減ってきているのを実感します。
以前は沢山あった染め工場もだんだんと少なくなって、染めたくても染められない状況になってきているんです。
その状況を目の当たりにして、自分は残っている側として今持っている技術だけではなくもっと色々な技術を学んでいく必要があるなと考えさせられています。
これから失われていく技術もあるでしょうし、そういう技術を残し繋いでいくのも残された職人な義務なのではないかと思うんです。
技術は失われるのは一瞬ですが、その技術を復活させるのは本当に大変な事だと思うんです。
失われてしまう前になんとか繋いでいけるように努力していきたいと思います。